寬仁親王殿下御言葉 全国氏子青年協議会創立三十五周年記念式典

寬仁親王殿下御言葉

全国氏子青年協議会創立三十五周年記念式典

  本日ここに、全国氏子青年協議会が、創立三十五周年を迎えられたことは、誠に嬉しく喜びにたえません。

  本稿執筆中に、丁度よい記事を読みましたので以下に述べます。一月程前の産経新聞の『教育再興』の欄、“宗教と伝統文化”についてであります。

  神社本庁研修室の葦津敬之氏は、「神社はかつて青少年教育の場であり、伝統文化継承の場であった。子供たちはそこで自然への慈しみやものの大切さを学び、畏敬の念を学んだ」と。

  また、明星大学の高橋史郎氏は、「神社の社は『いやしろ』といい、癒しの原点。神聖な場であると同時に心身ともに他と和合する場、いのちをよみがえらせる場、健やかに元気に生きる場である」と。そして、「境内で耳を澄ますと、谷を走る水音が響き、木々を鳴らす風の音が聞こえる。『日本人の心の故郷』がそこにある」と結ばれていました。
  鎮守の森の重要性を見事に言い表している文章と思いました。

  また、一昨年、東京都神社庁の設立五十周年式典で、私は以下のように述べています。

  前段で「神道」について語った後、「このように、他宗教と比較対象できない我が国独特の『神道』の今後の隆盛を期待する上で、また、現代社会の精神的立て直しをはかるためにも、都神社庁が所管する千四百社の緑の杜を守ることによって、人々の情操・感性を高めること。

  鎮守の森が、日本人の心の寄り処であることに思いをいたすこと。敬神崇祖の伝統精神を子々孫々に正しく伝承することの重要性等々を認識することが望まれます。

  また、世界に冠たる国際都市である東京は、世界と共存共栄を計る上からも、物質文明の進歩と成長に惑わされることなく、千四百社の氏神様と氏子が毎年の祭りを通じて日本人一人一人に『心の安らぎ』と『生甲斐』を与えている事実に思いをいたし、世界に類を見ない我が国固有の『神道』を、我が国民一人一人が、正しく認識するために、また、諸外国の人々に正しく認識してもらうために、神職にある方々、並びに関係各位が、解り易い『言語』を活用して説明することが、最も大切なことであり、最も望まれていることと考えます。」

  全国氏子青年協議会の皆様方には、三十五周年の今年、「原点に立ち返る」をテーマにされていると伺いました。

  全国二七五単位会、会員一万二千名の皆様が、記念すべき、設立三十五周年の佳き年にあたり、以上の諸件を十二分に勘案せられ、今後の協議会の益々の発展の寄り処とされますことを心から祈念申し上げ、私のご挨拶と致します。
 
  寬仁親王殿下には、創立十周年(昭和四十八年・京都市)、同二十五周年(昭和六十三年・北九州市)、そして今回の三十五周年大会(平成十年・東京都)と、三度にわたり本会の周年大会に台臨を賜っております。



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