神社新報 御田植関連記事(抜粋)

神社新報(平成22年6月14日発行)

氏子青年の活動で六十年ぶり御田植祭  下鴨神社

 【京都】京都市左京区の賀茂御祖神社(下鴨神社・新木直人宮司)では五月三十日、下鴨神社青年会(小松隆志会長)が中心となって六十年ぶりに御田植祭がおこなはれ、同神社の青年会、ボーイス・ガールスカウトなどの子供たち十二人が苗を植ゑた。 
 同神社には朝廷より御戸代(神饌田)が寄進されてゐた歴史がある。明治時代にそれもなくなったが、昭和十五年の皇紀二千六百年の記念事業のひとつとして、前年の十四年に氏子が岩倉花園の地に神饌田を復興し、御田植祭をおこなひ、神前に新穀を供へてゐた。しかし戦後の農地改革でこの伝統行事は廃絶となったとゐふ。
 氏子青年会では、第六十二回神宮式年遷宮奉賛宣揚事業として全国氏子青年協議会(七海栄会長)が全国的に進めてゐる「新穀の献米事業」に向けたお田植祭を機に、長年の懸案であった御田植祭の復興を計画。下鴨神社と神宮への新穀奉献を目的に、地元の協力も得て、約六十年ぶりに御田植祭を斎行することとなり、下鴨神社の旧社領地である左京区上高野の農地約六百六十平方メートルを神饌田として借り受け、青年会会員が奉耕することになった。
 当日は午前九時半から澄み渡った青空の下で御田植祭が斎行された。祝詞奏上に続き、新木宮司、小松会長らが玉串奉奠し、豊作を祈念した。
 御田植行事では、まづ神田を祓ひ、続いて小松会長が幣串で合図をおこなふと、楽が流れる中、早乙女姿の子供たちがキヌヒカリの早苗を手に田圃に入った。はじめは田圃のぬかるみに足を取られてゐた子供たちも、次第に上手になり、丁寧に苗を植ゑていった。
 小松会長は「神事を通して、自然と触れ合ってほしい。今後も続けていきたい」と話してゐる。
 秋には、抜穂祭がおこなはれ、同神社と伊勢の神宮に奉納される。